能徳寺とは
神奈川県相模原市南区磯部の下磯部地区、相模川の近くにある寺院です。
境内の石碑によりますと、室町時代の終わり頃、永禄年間(1558-70年)に創建されたそうです。
この付近が磯部城の中心部であったという説もあります。
下磯部地区を巡っているとしばしば目にする「磯部城」という言葉ですが、室町時代の文明8年(1476年)から文明12年(1480年)にかけて起こった「長尾景春の乱」において、相模川の対岸にある小沢城の支城として存在していました。
「長尾景春の乱」においては、他の相模国の諸城とともに太田道灌方によって攻め落とされたことが「太田道灌状」に記されており、相模原市南区において、存在していたことが明らかな唯一の城跡ということになっています。
しかし、この乱の以前や以後のことについては全くと言っていいほど情報が無く、「乱の時期には存在したのは間違いないと思われる」が、それ以外については謎の多い城の跡と言えると思います。
ここまでは「御嶽神社」でも書いたことと同じなのですが、下磯部地区の中心にある御嶽神社に比べると、能徳寺は相模川の上流方向に離れた三段の滝広場近くにある「上磯部の土塁」(こちらは発掘調査の結果、城郭遺構であることがわかっています)に近く、ひとつづきのお城だとしても考えられないこともないといった位置にあります。
磯部城は未だにわからないことが多い城跡なのですが、研究されている方が沢山いらっしゃるので、ひょっとしたら近いうちにまた大きな発見があって進展があるかもしれません。
現在でも広い敷地をもっていますので、昔からこの能徳寺がこの地域にとってとても重要なお寺であったことは間違いないでしょう。ひょっとすると、磯部城の跡を利用した…?なんてこともあるかもしれません。
相模原仏教会によるWEBサイトはこちらになります。
アクセス
公共交通機関
路線バス
最寄りのバス停は、小田急線相武台前駅からJR相模線相武台下駅を経由して来る「台06系統」の終点・始発となる「磯部」バス停となります。
徒歩180mぐらいなので2~3分ぐらいで着けると思います。
バスの時刻表はこちらです。ご利用前には神奈川中央交通公式サイトでかならずご確認ください。
下磯部地区の略図を作ってみました。
詰め込みすぎてちょっとごちゃごちゃしてしまいましたがだいたいこんな感じです。
駅から徒歩
駅から歩こうとする場合の最寄り駅はJR相模線の下溝駅となります。
駅から1.6kmほど、下り坂もしくは平坦で、徒歩20分ちょいでは着けると思います。
途中に三段の滝や磯部八幡宮など見どころもありますのでお散歩ウォーキングにはいいかもしれません。
また、おなじくJR相模線の相武台下駅からでも1.8kmほど、ほぼ平坦で、徒歩25分ほどで着けるのではないかと思います。
こちらは途中に公共施設「れんげの里あらいそ」「新磯まちづくりセンター」がありますので、休憩したりお手洗いなどを借りることもできると思います。
どちらの駅からのルートも道中にコンビニエンスストアなどはありませんので、もし必要であれば各駅周辺の県道46号沿いにあるコンビニエンスストアに寄ってからスタートしてください。
小さめの個人商店や自動販売機などはいくつかあります。
もし下溝駅と相武台下駅をともに使う場合であれば、下溝駅スタート→相武台下駅ゴールにした方が、全体的に下り坂になるのでよろしいかもしれません。
クルマ
能徳寺には駐車場がありました。
↑上の写真の右側の看板がこちら↓
特にラインなどが引いてあるわけではなかったのですが、舗装してあり、台数としてもそれなりに停められるような気がします。
参考までに周辺地図は以下のとおりです。
周辺は道路も狭いところが多いので、徒歩でもクルマでも十分注意してください。
行ってきました
今回自分は御嶽神社にお参りしてきた あとなので、
「磯部」バス停方向から歩いてきました。
隣接する「能徳寺子どもの広場」越しに見る本堂です。
大きいとは聞いていましたが実際に目にすると大きいだけじゃなく綺麗でかっこいいですねー。
立派な山門があります。
「曹洞宗 能徳禅寺」と書いてあります。
奥には観音様、本堂、鐘楼が見えています。
山門には号である「礒平山」との文字がありました。
右を向くと
六体の地蔵が立っていました。
左を向くと
「不許葷酒入山門」の碑。
においの強いもの(ネギとかニンニクとか)と酒はこの山門の中に入るなよ、ってことです。
自分は今日は大丈夫なはずなので一礼して山門から入らせていただきます。
境内に入りました。
石灯籠や十三重石塔などもあります。
左にある大きな観音様がとても神々しいですね。
まずは本堂に向かいます。
本堂です。
堂々とした重厚感もありながらシンメトリーでバランスがいいので美しいだけでなく、非常に落ち着いた感じを受けます。とても安心できるデザインで個人的にはかなり好きです。
まだまだ新しい建物ではあるのですが、調べていたら「さがみはらフイルムコミッション」のWEBサイトに、もっと真新しい時の写真がありましたので、興味ある方はどうぞ。
扁額です。
達筆というよりもいわゆるすごく綺麗な字で書いてあります。
字がうますぎてフォント化してほしいぐらい。
本堂から山門方向を振り返るとこんな感じです。
広くて余裕があって綺麗な境内ですよね。
十三重石塔と鐘楼があります。
鐘楼に来てみました。
撞いていいとは書いていなかったと思うので自分で撞くのは自重しましたが、この鐘の音をいつか聞いてみたいものです。
いい倍音がしそうな気がします。
本堂から見て左手の方に、いくつかの石仏などがありました。
石碑石仏の間に見えている双体地蔵(双体道祖神?)さんですが、実はこの地域(相模地域)以外ではあまり見られないのだそうです。
そんなレアキャラとは知らなかったので結構スルーしてしまっている気がします。今後は気付き次第、写真にいっぱいおさめてこようと思います。
こちらには真新しい「本堂建設記念碑」がありました。
本堂建設記念碑
磯平山能徳寺は 永禄時代に近隣の寺院を
合併し七石八斗の禄高を 与えられ建立され
開祖より九十三年目で四世、百二十九年目
で六世の天寧高補大和尚様により元禄九年に
再度新築され代々の歴住により、法を受け
継ぎこのお寺が護られて、現在に至り、茲に
檀信徒の皆様の尊い浄財を仰ぎ、平成の大事
業とし四百五十年に先立ち、ここに無事円成
し檀信徒、地域の皆様の佛心の拠場となりま
す、ことを祈願し、茲にこの塔を建立した。平成十六年甲申二〇〇四年六月十六日吉辰
礒平山 第廿一世尚堂
合掌
能徳寺 関係檀徒一同
とありました。
新しいとはいえ築20年近く経っているのにこれだけ美しく維持されているのはなかなか大変なことだと思います。
それでは観音様の方に行ってみましょう。
陽光を浴びて神々しくたたずむ水子観音像のまわりには、こどものお地蔵さんがたくさんいらっしゃいます。
しかもこどものお地蔵さんはそれぞれがポーズも表情もたいへん豊かでした。
ここまでたくさん数がいらっしゃるのもあまり見かけない気がいたします。
まとめ
相模原市南区磯部にある「能徳寺」について書いてみましたがいかがでしょうか。
「室町時代から今に至るまで、相模川と地域を見守り続けている長い歴史を持つ寺院」ということが伝わったら幸いです。
気になることがみつかった方は是非当ブログ内の各ジャンルの記事にも飛んで読んでいただけたら嬉しいです。
相模原市南区に興味を持っていただき、また、この記事を読んでいただいてありがとうございました。